2.26.2024

2/26/2024

貨物コンテナの捜索中、120年前の難破船を見つけてしまった

SS Nemesis - CSIRO

オーストラリアの海洋ミステリーの1つとされていた謎が(偶然)解決される。

たまたま見つけちゃった。

あるよね時々。今まさに探してるものは全然見つかんないのに、ずっと前に探すのを諦めてしまったものがうちゃっかり見つかっちゃうこと。

120年前に消息を絶ったオーストラリアの蒸気船、シドニー沖で発見

オーストラリア東海岸で消息を絶っていた蒸気船「SS ネメシス (Nemesis)」 が、シドニー沖で CSIRO (Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation: オーストラリア連邦科学産業研究機構) によって発見された。

1904年7月8日、ネメシスは石炭を満載し、ニューキャッスルからメルボルンへ向けて出向、直後に南からの暴風雨に襲われた。船が消息を途絶えたあと数日間に渡って、シドニー南部のクロヌラビーチには、乗組員の遺体が打ち上げられるという悲惨な光景が広がったという。32名の乗組委員全員が犠牲になったとされている。

そして1世紀以上たった今、遠隔探査会社がシドニー沖で、先立って失われていた貨物コンテナを探している最中に、海図にマッピングされていない難破船を発見した。

船は、海岸から28㎞はなれた沖合の、水深160mの海底に静かに横たわっていた。

This Australian ship vanished 120 years ago. Its wreck has just been found by accident (SBS News)

記録のない難破船は、120年もの間行方不明だった貨物船

RV Investigator - CSIRO

ネメシスの発見は、ニューサウスウェールズ州遺産局 (Heritage NSW) が 2022 年 5 月に委託した調査中に、民間海洋調査会社である Subsea Professional Marine Services (SPMS)によって行われた。同社は ウォロンゴン(Wollongong)沖での海底調査中に、海図に記載されていない難破船を発見し、ニューサウスウェールズ州遺産局に報告した。

SPMSは遠隔操作型無人潜水機 (ROV) を使用して、沈没船の初期調査を行った。

ニューサウスウェールズ州遺産局は、沈没船の特定に必要なさらなるデータを収集するため、オーストラリアの国立研究機関である CSIRO に調査を依頼した。CSIRO は 2023 年 9 月、調査船「RV Investigator (インベスティゲーター)」がホーバートからシドニーへ向かう航路中に、沈没船の詳しい海底地形マッピングとカメラによる調査を行った。

CSIRO の調査チームは、まず船の最新型マルチビーム測深機を使って、沈没船とその周辺の海底を高解像度でマッピングした。次に、専用の海底投下カメラシステムを使用して、沈没船全体の詳細な視覚検査を行った。

DROP CAMERA SS Nemesis survey by RV investigator - CSIRO

CSIRO の調査責任者であるジェイソン・フェイジー(Jason Fazey)氏は、次のように述べている。

RVインベスティゲーターは、ニューサウスウェールズ州遺産局を支援し、調査を行うのにまさに適切な場所に、適切なタイミングでいました。調査コースは沈没船の真横を通過しており、調査条件にも恵まれ、チームは素晴らしい仕事をして、沈没船の驚くべき映像を撮影することができました。
我々は投下カメラを使って沈没船全体の全長を調査し、内部構造の一部を含む船体の多くの詳細を明らかにしました。

調査船に搭乗していた CSIRO の水路測量士であるフィル・ヴァンデンボッシュ(Phil Vandenbossche)氏は、次のように述べている。

RVインベスティゲーターによる海底マッピングの結果、沈没船は水深 160 メートル、ニューサウスウェールズ州ウォロンゴン沖約 28 キロメートルの海底に直立していることが示されています。
沈没船は大陸棚の縁近くにあり、海底に直立していますが、船首と船尾の両方で重大な損傷と劣化が見られます。投下カメラを使用した沈没船の視覚検査では、いくつかの重要な構造物はまだ損壊を免れており、識別可能であることが示されました。その中には、海底に沈んでいる 2 つの錨 (いかり) も含まれています。

RVインベスティゲーターによる海底地形調査とカメラ調査のデータと、SPMSが以前収集した画像を合わせて、ニューサウスウェールズ州遺産局の海洋考古学者は、沈没船を「SS ネメシス」であると特定した。

ニューサウスウェールズ州遺産局の上級海洋考古学者であるブラッド・ダンカン(Brad Duncan)博士は、次のように述べている。

SS ネメシスはもともと旅客船でしたが、消息を絶えた当時は石炭運搬船として改造されて運航されていました。
1904 年 7 月の最後の航海では、SS ネメシスは石炭とコークスを満載してニューカッスル港を出航し、メルボルンに向かう予定でした。しかし、出航後まもなく、南からの暴風に遭遇し、その後、ニューサウスウェールズ州の海岸沖で消息を絶ち、乗組員 32 名全員が犠牲になりました。

ダンカン博士は、多くの難破船の発見と同様に、SS ネメシスの発見も、研究機関、文化遺産機関、海洋コミュニティ間の緊密な協力の賜物であると述べている。

この沈没船は、オーストラリアの海岸線に沿って存在する何千もの難破船の一つであり、まだ発見されていないものも数多くあります。
今回の発見と沈没船の特定は、単に船舶とその沈没事故に関する重要な考古学情報を提供するだけでなく、より重要なこととして、乗船して亡くなった方々の家族や友人にとって、愛する人を悼むことができる場所を提供するかもしれません。
RVインベスティゲーターが収集したビデオ画像は、今後詳細な調査を行うために、沈没船の 3D フォトグラメトリモデルを作成するために「縫い合わされる」予定です。

フェイジー氏は、CSIRO が今回の重要な沈没船の特定と保護に携われたことを光栄に思っていると述べている。

この発見が、オーストラリアの海洋史におけるもう一つの謎の解決に役立つことを願っています。

SS ネメシスの難破船は、2018 年の「水中文化遺産法」に基づき、歴史的難破船として保護される。

このプロジェクトは、CSIRO 海洋国立施設によるRVインベスティゲーターの航海時間の割り当てにより支援された。同施設は、オーストラリア政府の「国家共同研究インフラ戦略 (NCRIS)」によって支援されており、オーストラリアの国立研究機関である CSIRO が運営している。

SS ネメシスと家族に潜在的なつながりがあると思われる方は、ニューサウスウェールズ州遺産局にご連絡ください。

CSIRO helps Herigtage NSW solve 120-year maritime mystery of the SS Nemesis (CSIRO)

因みに、今回の記事にも載せているものも含め、CSIRO による沈没船調査の追加の写真と映像は、以下の Dropbox から入手できるよ。

https://www.dropbox.com/scl/fo/16kddg1v6e9w9xbzb3qy8/h?rlkey=dd5fnfv0nrx9uio1ik045lc9e&dl=0

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